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傑作です!!またコリーン・フーヴァーさんの傑作が増えました!!
どうしてこんなに素晴らしい作品が書けるのでしょう???
読み終えた後に感じたきもちは、「すばらしい!!!」のひとことでした。
そして、オレンジ色が大好きになりました。オレンジ糸って明るい希望のある色だな~と思うようになりました。
コリーン・フーヴァー作品を読み終えるといつも何かずしんと重たいものが心の奥にとどまるのですが、今作はその重さに甘さがあります。これは好きな感覚。
今まで読んだコリーン・フーヴァーさんの作品の中でいちばんロマンス成分が多かったです!
ラストはとってもハッピーエンド!!(とっても好みです♡)

ロマンス成分が多いといっても、一般的なロマンス小説とはひと味違います。
母と娘の二世代のロマンスが並行して相互に影響を与えながら進みますので、1冊で2つのロマンスを味わうことができて、しかも、それが立体構造になっていて、中心には親子関係がメインテーマとして鎮座しているようにもみえます。というか、女性の恋愛には必ず母親の影響があるもの。だからそれを効果的に炙り出す構造にしているのだと思いました。
どこにもない斬新な設定によって奥深い洞察のあるロマンス小説に仕上がっています。

まだ今は2019年12月下旬ですが、来年2020年のGoodreadsロマンス部門ランキングTOP10にノミネートされると思います。そして1位を獲得するのでは???と思わざるをえない完成度です。
(ちなみに、2019年度のランキング1位はMMロマンスで、2位はコリーン・フーヴァーのサスペンス「Verity」(2019年12月19日に邦訳出版済)でしたね。)


さて。まず、このブログの趣旨である英語についての感想を書かなくては…。
といっても、つまずく箇所がほとんどなく、すらすらと読めました。
英語力がなくても、内容に引きこまれていて、かつ、慣れた文体ならば、すらすらと読めるのですね。
こんなに易しい英語でこのような深みのある作品が書けるなんてすごいことです。
ひとことも取りこぼしたくなかったので、わからない単語はきちんと調べながら読みましたが、11時間半で読み切れました。英語力がある方ならば、1日で読み切れちゃうのでしょう。

読書期間:2019/12/10~2019/12/20
読書時間:11.5時間
ページ数:365

以下に、簡単なあらすじをメモしておきます。

モーガン(17才)が彼氏クリス(19才)の子供を妊娠したことに気づくところから物語は始まります。ふたりは、モーガンの妹ジェニーとクリスの友人ヨナの4人で高校の卒業パーティーに行くところでした。
その頃、モーガンはもしかしたら本当はヨナのことを好きなのかもしれず、ヨナも自分のことを好きなのかもしれない、ということに気づきはじめていました。
若いカップルは往々にして、勢いだけで付き合い始めることがあるけれど、本当に心の底で恋愛感情をもっていたのは実は隣にいた別の人なのかもしれなかった、というお話です。
けれど、その時のモーガンには、そんなことを考える意味はなかった。時間もなかった。なぜなら、すでにモーガンはクリスの子を妊娠していたのだから。それに、クリスは非の打ち所がなく、父親として申し分のない男性だったからです。
モーガンとクリスはその後、結婚し、幸せな家庭を築きました!
ハピリー・エヴァー・アフター♡

…というわけにはいかないのが、コリーン・フーヴァー作品です。
ストーリーはこの17年後からがメインです。

モーガンとクリスの間に産まれた娘クララ(17才)は、ワルで有名だった父親の息子ミラー(18才)に恋をしますが、ミラーには彼女がいました。恋人がいるのに、惹かれ合う想いを止められないふたりのピュアな恋の行方が、キラキラとしたロマンス小説として描かれていきます。

それと同時に、ヨナ(17年ぶりに親族の葬儀のために田舎に戻ってきた)とモーガンの微妙な関係が描かれていきます。
ヨナはモーガンの妹ジェリーとワンナイト・スタンドの関係を結び、そのときにジェリーが妊娠したため結婚することになり、モーガンとヨナは親族になったのです。

そして、ある日、大事件が起きるのです。
物語は予想外の方向へ進んでいくことになります。
この事件は大きなネタバレになってしまうので、これ以上は何も書けません。
あらすじはここで終わりにします。。


一般的なロマンス小説というものは、ヒーロー目線とヒロイン目線が交互に書かれるものですが、この作品は、母親目線と娘目線が交互に書かれるという、斬新なストーリーラインとなっています。
母親といっても35才ですので、ロマンス小説のヒロインとしては全然不自然ではありません。
母親のロマンスと、娘のロマンス、それぞれにどっぷりと浸かりながら、母と娘の親子関係にまつわる物語にもどっぷりと浸かることで、普通のロマンス小説ではみえなかった部分までみえてくる素晴らしい作品です。
とくにクララとミラーの若々しいロマンスは、甘酸っぱくて文句無しに素敵なロマンスでした。
青春小説、ロマンス小説、家族小説が絶妙に融合した作品ですが、コリーンさんがこの作品の中で一番書きたかったことは、母親として自分の娘には自分と同じ後悔をしてほしくない、という普遍的な親の愛の行方なのだと、(タイトルから)私は勝手に解釈しました。
コリーンさんの作品には強い魂が込められていて、ラストにその魂を分け与えてもらえるような気がするので、本当にすごいと思います。

この作品は、そのような重いテーマがロマンス小説という甘やかで軽妙な顔に隠されている点が傑作なのですが、ロマンス小説の部分だけでもとっても素敵なので、ロマンスクラスタの方々にもおススメです!
ヒーローが(二人とも)本当に文句なしに素敵なんです!本当に文句なしです。女性を愛する方法をちゃんとわかっている!!こういう愛し方が女性を本当に幸せにするんですよ、というお手本のような男性の言動をコリーン先生はうまく書かれますね。
(そういえば『Slammed』のヒーローも素敵でした。。後から考えると、良さがわかるという。。)

そして、ラストには素敵なサプライズもあって、ハッピーな気分に包まれました♡
内容に深みがある分、ハッピー感には現実味があるんです。
カテゴリを細分化させたら、「ファンタジー・ロマンス」じゃなくて「リアリティ・ロマンス」に入る。

『傑作』の定義はさまざまだけど、私は、その作品のもつ力量が大きいものを言うと考えています。
その物語が読み手の潜在意識に「良識」を刻み込む力の度合い。それが大きければ大きいほどに深く良識を刻みこむことができて、そこに小説としての存在価値があると思うのです。
そして、コリーン・フーヴァーさんの作品はその力が傑出していると思います。
そういう意味で、これは娯楽小説ではなく、真面目な傑作だと思いました。
こういう作品、大好きです。