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わあーい♡ついにキマシタ!!!『Vicious』の息子『Vaughn(ヴォーン)』のお話!!

All Saints High シリーズ3作目のタイトルは『怒れる神』!!

学園シリーズ1作目の『Pretty Reckless』ではファイトクラブでペンをブルボッコにしたファッショニスタ系冷酷ワル美男子のヴォーン。出番は少ないのに少ないセリフからも神々しいオーラを放っていたヴォーン。
2作目の『Broken Knight』ではナイトからルナを奪おうとしたのか煮え切らないふたりを沸騰させようとしたのか真意が掴めない行動を取ったミステリアスで超絶クールでハートレス・プリンス(冷たい王子)と言われていたヴォーン。絶対に笑顔をみせないヴォーン。
街で一番裕福で警察すら口が出せないスペンサー家のひとり息子。
そんなヴォーンのロマンスを海外ファンの熱狂とともに待ち焦がれ、待ちに待った新刊発売日からは毎日どんどん増えていくレビュー数を眺めながら、私もその波に乗ってむさぼるように読みました。
サイコーでした!!!


まず、英語レベルについては、このシリーズ1・2作目と同様の印象です。この読みにくい文体は現代アートなのでしょうか。
読みにくい文章をあえて頭ではなく心で読み取ることで感覚がより繊細に過敏になりストーリーに入り込むことができる。という計算づくの『読みにくさ』なのではないかと思うに至りました(笑)真面目に。そうだとしたらやはりシェン先生は天才です。
もはやシェン作品およびシェン文体の中毒状態。
(海外ファンの間でも『L.J.Shen Badass Asshole Addict』というワードをよくみかけます。)
ということで、洋書ロマンスを読めるようになりたいブログという趣旨に反しますが、洋書ロマンスを読めるようになるためには英語力はどうでもいいという境地に達しました。

読書期間:2020/02/17~2020/2/26
読書時間:15時間
ページ数:


今のところ日本語で読める可能性は限りなくゼロに近いと思われるので(主人公が10代なので)、最初のほうは詳細なあらすじを備忘のために残しておきます。

Leona(レオナ)が9才、Vaughn(ヴォーン)が10才の時、両親が南フランスのワインテイスティング・チャリティー・パーティーに出席していた際に、噴水の近くに座って読書をしていたレオナに一目ぼれしたヴォーンは前夜のディナーで盗んできたチョコレート・ブラウニーを半分に割ってレオナに手渡します。ふたりは軽口を叩き合います。(この年頃の少年少女の会話ってかわいい♡)これが二人の出会いでした。

レオナ12才、ヴォーン13才の時、イングランド北西部カーライルにある美術学校(プレップスクール。レオナの父が経営している。)の生徒となっていました。
氷のように冷たい光を放つブルーアイに黒髪のヴォーンは才児として学内で特別扱いされていました。
そんなヴォーンを羨み、恐れていたレオナは、ある夜、失敗した作品を取り返しに、ひとりで写真の現像室に忍び込みました。そのとき、暗闇の中にヴォーンの姿を見かけた気がしましたが、気のせいかもしれないと思い直しました。夜にひとりで自室から出ることは禁じられていたので、レオナは走って自室のベッドに潜り込んで寝たふりをしました。そこにヴォーンが現れ、レオナを見下ろし、「誰にも言うなよ」と言います。何のことかわからず、頬に触れられて、レオナは怖くてたまらず、震えながら寝たふりをしていました。そのときのレオナにとって、ヴォーンは恐れ多い存在だったのです。
『He was a deity.』

その後、二人が関わることはありませんでした。
ヴォーンはカリフォルニアの豪邸に戻り、中学~高校生活を送ります。

他方、レオナは母が病死し、悲しみのあまり心がメタメタに壊れた末に、固い鎧を身につけ、キツい性格に変貌します。
そして、父の仕事に伴い、イングランドからカリフォルニアの高校に転入することになりました。
レオナは全身黒づくめのゴシック(パンク系)ファッションに身を包んでおり、もはや、ヴォーンを恐れていた弱い少女ではありません。

このとき、レオナは17才、ヴォーンは18才になっていました。

ヴォーンは学内一金持ちボンボンモテ男で、ロッカーを開けるとラブレターや女子生徒のヌードポラロイド写真が川のように流れ出てくるという日々。
レオナが転入してきたことを知っても、とくに話しかけることもありませんでした。

そんなある日、レオナが自宅(ヴォーン所有地内)のプールで裸で泳いでいるところに、ヴォーンが現れます。
「ここで何やってるのよ?」
「おれもまったく同じことを自問自答してたところだ」
そう言ってジャンプ台に座り、怠そうにレオナのバスローブを指でつまみ上げます。
「あんたの許可なんて取るつもりないわ」
裸のレオナを前にしても全く動じないヴォーンと、ヴォーンをもう恐れていないレオナ。ふたりは最初から口喧嘩します(会話文が独特過ぎて翻訳不可能。笑)。
そして、レオナがバスローブを取ろうとすると、ヴォーンはそれをプールに放り投げ入れます。
会話からふたりは美大のインターン・プログラムに申し込んでおりライバルになったことが判明します。
ヴォーンは、レオナの洋服も全部プールに投げ入れて去っていきました。これが、再会した二人の初めての会話でした。


ある日、高校内の食堂で皆が集まりランチをしているときのこと。
珍しくヴォーンが食堂に現れたので生徒たちはガヤガヤしたけれど、レオナは目をそらしていました。
ヴォーン:「アリスはどこにいる?いますぐ咥えてもらう」
アラベラ:「アリスなら新しいボーイフレンドといるわよ」
ヴォーン:「よし。そいつに見せつけてやろう」

レオナはヴォーンの会話を聴いていないふりをして本を読んでいました。自分に注目してくれないことに腹を立てたヴォーンはレオナに言います。
ヴォーン:「レオナ、おまえ、処女だろ?」
食堂にいる生徒が口を閉ざし、空気が凍り付きます。
ナイト:「よせよ」
ナイトはヴォーンに注意できる唯一の友人なのだけど、この日のヴォーンは手に負えないようでした。
ヴォーン:「レオナ、来い。どうやってやるか、みせてやるから」
レオナ:「私に教えようとするなんて、あんたのお父さまはさぞかし誇らしいでしょうね」
そんなレオナの反応はヴォーンの予想外のものでした。涙ぐんだりヒステリックになることを予想していたのに。
レオナはもう昔の弱いレオナじゃなくて、ゴシック・ロック・ファッションという鎧によって強い女に変貌していたのです。

レオナ:「オーラル・レッスン?素敵ね。あんたみたいなエキスパートよりうまく教えられる人なんていないでしょうし。メモを取るためのノートを持っていったほうがいいかしら?iPadとか?」

レオナはそう言ってヴォーンに付いていきます。
レオナは、ヴォーンが校内でたびたび公開フェラをさせていて、ときには2人の女子に交互にさせているという噂を聞いていたのでした。

(この学園シリーズを通してシェン先生が表現していることは、『We're all a little sadomasochistic.
Especially when young. And powerful. And beautiful. And rich.』という文章に詰め込まれているなぁと思いました。)

そして、ボーイフレンドといるアリスを見つけ、ヴォーンはクールな表情のまま、アリスにBlowjobさせてレオナに見せつけようとしました。
すると、レオナは「じゃあ、わたしはJason(アリスのボーイフレンド)とするわ」と言ってJasonのものを出して握りしめて(初めて男性のものを見たので「きゃっ」と声を出しちゃうところが笑えます)、ヴォーンを仰天させ、怒らせます。こんな展開になるなんて予想していなかったから。ヴォーンはJasonの前に立ちはだかり、「レオナに近づいたヤツは死ぬ。彼女はおれのもんだ」と言い放ちます。それ以来、校内でレオナはヴォーンのものという噂になります。

(ここまでで、まだ1割弱なのですが、詳しいあらすじはここまでにします。笑)

その後も、ヴォーンとレオナのハチャメチャな言動は続きます。けれど、根底には純粋な恋物語があって、それでもレオナに対してヴォーンは手を出そうとしないんです。ふたりとも両思いなのに、ふたりとも気づいているのに。ほとんど告白し合っているのに。

ある日、ヴォーンの父(Vicious)は尋ねます。
「息子よ。おまえはゲイなのか?」
「なんでそんなこと訊くんだよ」
「だっておまえ、女の子に関心がないじゃないか」
「おれは人間に関心がないのさ」

ヴォーンがなぜ人間に関心がないのか、なぜレオナに酷く当たろうとするのか、幼い頃のあの夜何があったのか、あの言葉の意味は何だったのか、なぜ公開Blowjobをするのか。ストーリーが進むにつれて、ヴォーンに関する謎が明らかになっていきます。それにつれて、切なくて美しいストーリーが協奏曲のように怒濤の波となって押し寄せてきます。

思春期特有の狂ったような儚い恋と、繊細な心情を細やかにストーリーに組み込む芸術性と、美しいお城で繰り広げられる熱い恋のバトルと、生々しい幼○○愛と、友情と家族愛と…さまざまな物語が織り交ぜられて、スイートでポップなロマンスを主軸として仕上がっていて、さすがL.J.Shen先生。非の打ち所がありません。
サスペンスもないのにこれほど読者を惹きつけるキャラクター造形の深さと巧みなストーリーライン。こんなにも濃密な作品を、私は知りません。
ファンタジーだけど、リアリティがあるからきゅんきゅんと胸に迫ってくるし、1ページ目から輝いていたモチーフのツタンカーメンやレオナの作った彫像、ヴォーンの作った彫像など、まるで芸術家の世界に住んでいるような視覚的体験もできました。
エピローグもたっぷりついていて、甘~いハピリー・エヴァー・アフターがたまりません♡

今作はシリーズ最終章なのかしら。
前作までは気づかなかった「Hunter」という名の同級生が気になりますので、多分、次作のヒーローなのね。それから、トロイ・ブレナンという名前も出てきましたよ。
どうやら次に出る新シリーズはこのシリーズとクロスオーバーするお話なんですって。
楽しみー♡
このシリーズを読むためにいままで洋書を読んできたのかもしれないっていうくらい毎回好みドンピシャの作品を読ませてくださるシェン先生に感謝の気持ちでいっぱいです。もうシェン作品だけ読めれば十分!!と思えるくらい胸がいっぱいになっちゃいました。
また読み返します!


※ちなみに、このシリーズはすべてスタンドアローン作品と書かれているけど、『Sinners of Saint Series』の『Vicious』を読んでいないと楽しさ半減だと思いますので、ご興味を持たれた方は、
『Vicious』→『Defy』→『Pretty Reckless』→『Brocken Knight』→『Angry God』の順で読むことをおすすめします♡
この5作品はすべて!マイ・ベスト・ロマンス!